事業評価・査定の用語

デジタル事業の価値算定に関わる用語。倍率・指標・査定ロジックを解説します。

BHS(事業健全性スコア)
BHS(事業健全性スコア)とは、RIKKA M&A独自の指標で、売買対象事業の健全性を5軸(規約遵守/収益持続性/譲渡可能性/法的リスク/エビデンス整合性)でスコア化し、評価の理由とともに買い手へ開示する仕組みです。
DCF法(割引キャッシュフロー法)
事業が将来生み出すキャッシュフローを予測し、割引率で現在価値に換算して合計することで企業価値を算定する手法。理論的に精緻だが、前提の置き方で価値が大きく振れる。市場環境が変わりやすく過去実績の期間も短いことが多いデジタル事業では長期予測を立てにくく、実務ではマルチプル法や年買法が選ばれる場面が多い。
EBITDA
利払い前・税引き前・減価償却前利益。営業利益に減価償却費などを足し戻した利益指標で、資本構成や税制の影響を除いた本業の稼ぐ力を示す。小規模なデジタル事業ではSDEや営業利益が使われる場面も多く、どの利益指標を分母に置くかで価値が変わるため、倍率との組み合わせを揃えて比較することが重要である。
SDE(売主裁量利益)
税引前利益にオーナーへの役員報酬やオーナー個人に紐づく経費、一過性の費用などを足し戻し、売主が事業から得ている裁量的な利益総額を表した指標。個人運営のWEBサイトやアプリのM&AではSDEに倍率を掛けて価値を見積もることが一般的で、足し戻す項目の妥当性が評価の肝となる。
のれん(営業権)
買収価格が対象事業の時価純資産を上回る部分で、ブランド力・顧客基盤・収益力など貸借対照表に表れない無形の超過収益力を金額で表したもの。デジタル事業のM&Aでは価値の大半がのれんに集中し、特定個人や個人アカウントへの依存が強いと、譲渡後に収益が失われて価値が一気に毀損しうる。
アーンアウト
アーンアウトとは、譲渡対価の一部を成約時に一括で払わず、譲渡後に対象事業が一定の業績(売上・利益・継続率など)を達成した場合に追加で支払う、成果連動型の代金支払い方式です。売り手と買い手の価格評価のギャップを埋める手段として使われます。
ストック型収益・フロー型収益
継続的に積み上がる収益(ストック型)と、その都度発生する一過性の収益(フロー型)の区分で、収益の質を測る基本的な視点となる。同じ月商でもストック型中心の事業は将来の見通しが立てやすくM&Aで高い倍率になりやすく、毎月売上を作り直すフロー型中心の事業は継続性のリスクが価格に反映される。
バリュエーション
バリュエーション(事業評価・査定)とは、売買対象の事業がいくらの価値を持つかを算定する作業です。デジタル事業M&Aでは、月間利益に倍率を掛ける収益還元の考え方を軸に、収益の継続性や移管のしやすさで金額を調整します。
プレミアム・ディスカウント
標準的な評価額に対し、事業の強み(プレミアム)や弱み・リスク(ディスカウント)を反映して価格を上下に調整する考え方で、最終的な売買価格を形づくる。デジタル事業では収益の継続性や譲渡のしやすさがプレミアム要因、特定個人やプラットフォーム規約への依存、収益エビデンスの不備がディスカウント要因となる。
マルチプル法
利益や売上などの指標に一定の倍率(マルチプル)を掛けて価値を算定する手法で、計算が直感的で当事者間の合意を得やすいため、中小M&Aやサイト売買で最も普及している。継続課金で解約が少ない事業は倍率が高くなりやすく、一過性の収益や単一の流入チャネルに依存する事業は低めに見られる傾向がある。
リスクプレミアム(査定における割引)
リスクプレミアムとは、収益の不確実性が高い資産に対して投資家が要求する上乗せの利回りのことで、事業評価では割引率の上昇や利益倍率の低下として現れます。同じ月間利益でも、収益が一つのプラットフォームや個人に依存している事業は、分散している事業より低い倍率で評価されます。
利益倍率
事業価値を月間(または年間)利益の何倍かで表す評価指標で、デジタル事業M&Aで最も一般的な値付けの基準です。月間利益×倍率で売却額の目安を求めます。売上ではなく利益が基準で、収益の継続性・分散度・成長性・移管のしやすさが倍率を押し上げ、属人性や単一プラットフォームへの収益集中は倍率を下げます。
参入障壁(モート)
参入障壁とは、新規の競合がその事業と同じ市場に入り、同じ収益を得ることを妨げる要因です。デジタル事業では、検索順位や被リンクの蓄積、ユーザー基盤とネットワーク効果、独自データ、スイッチングコスト、許認可や規約上の地位などが該当し、コードそのものは障壁になりにくくなっています。
収益の継続性
事業の収益が一過性でなく、将来にわたって安定的に続くと見込める度合い。継続性が高いほど評価倍率が高くなりやすく、M&Aの価格目安を左右する重要な要素。デジタル事業では継続課金や安定した検索流入、長期契約が継続性を支え、一過性のバズや特定広告主への過度な依存は継続性を下げる。
収益源の多様化度
事業の収益が複数の源泉に分散している度合い。特定の顧客・チャネル・取引先への依存が小さいほどリスク耐性が高く、M&Aで安定性が評価されやすい。デジタル事業では流入経路や収益方法の分散が指標となり、特定プラットフォームの規約変更やアルゴリズム更新で収益が消える集中リスクは価格の割引要因となる。
回収月数(支払総額・市場実勢レンジ)
回収月数とは、事業を買うために支払う総額を、その事業の月間利益で割った値で、投資を利益で回収するまでに何か月かかるかの目安です。RIKKA M&Aの案件詳細では、価格に買主の成約手数料を加えた支払総額を月間利益で割って表示します。
属人性
属人性とは、事業の収益や運営が特定の人物(多くは現オーナー)の能力・人脈・知名度に依存している度合いです。属人性が高い事業は、譲渡後に同じ成果を再現できず収益が落ちやすいため、査定上は評価が下がる要因になります。
年買法
時価純資産に年間利益の数年分を「のれん(営業権)」として加算して価格の目安を求める、中小M&Aで広く使われる簡便な評価手法。デジタル事業は純資産が小さく価値の大半が収益力や集客基盤に宿るため、そのまま当てはめると実態と乖離しやすく、加算する年数は収益の継続性や移管のしやすさで増減する。
月商倍率
月商倍率とは、事業価値を月間売上(月商)の何倍かで表す評価指標です。利益が安定しない成長期の事業や、売上が将来の収益力を示すSaaS等で補助的に使われますが、利益を伴わない売上を過大評価しやすい点に注意が必要です。
相場
相場とは、同種・同規模の事業がどの程度の価格帯で取引されるかという市場の目安です。デジタル事業M&Aでは「月間利益の何か月分か」という倍率で語られることが多く、事業種別や収益の安定度によって幅があります。
純資産法
貸借対照表の資産から負債を差し引いた純資産額を基準に企業価値を算定する手法。資産価値を反映しやすい一方、将来の収益力やのれんを直接は捉えにくい。有形資産が少ないデジタル事業では単独だと実態を大きく下回ることが多く、年買法やマルチプル法と組み合わせて用いられる。
自動査定
自動査定とは、事業のデータ(収益・アクセス・事業種別など)を入力すると、アルゴリズムが売却額の目安を即座に算出する仕組みです。専門家による個別査定の前段として、おおよその価格レンジを把握するために使われます。
類似会社比較法
事業内容や規模が近い上場企業や類似取引の評価倍率を基準に、対象企業の価値を推定する手法。市場で成立している水準を参照するため、客観性を持たせやすいマルチプル法の一種。デジタル事業は収益モデル・流入経路・規約上の制約が事業ごとに異なり、表面的な指標だけの横並び比較は誤った価格を導く落とし穴となる。