税務・法務の用語

事業譲渡に伴う税金・契約条項・権利・法令に関わる用語。

M&A支援機関登録制度
M&A支援機関登録制度は、中小企業庁が2021年に創設した、中小M&Aガイドラインの遵守を宣言した仲介者・FA・士業等の支援機関を登録・公表する制度です。登録は実績や品質の保証ではありませんが、事務局のデータベースで登録の有無を確認でき、違反が疑われる行為は情報提供受付窓口へ伝えられます。
eKYC・公的個人認証(JPKI)
eKYC(electronic KYC)は、オンラインで完結する本人確認の手法の総称とされ、マイナンバーカードのICチップで公的個人認証(JPKI)を利用する方式などがあるとされる。サイト売買では遠隔地の当事者とも短時間で本人確認を済ませられる一方、書類の画像など機微な情報の保護が論点になる。
インターネット異性紹介事業(出会い系サイト規制法の届出)
インターネット異性紹介事業とは、いわゆる出会い系サイト規制法(インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律)で定義される、面識のない異性との交際を希望する者の間の情報交換をインターネット上で仲介する事業です。事業の開始には公安委員会への届出が必要で、届出番号のない運営は違法になります。
インボイス制度(適格請求書・仕入税額控除)
消費税の仕入税額控除を受けるために、登録事業者が交付する所定事項を記載した適格請求書(インボイス)等の保存を求める仕組みとされる。取引相手の登録状況が控除の可否に関わる。サイト売買では仲介手数料や成約後の有償の引継ぎ支援でインボイスの要否が問題になることがあり、請求書の扱いの事前整理が要る。
チェンジオブコントロール
チェンジオブコントロール条項(COC条項)は、契約当事者の経営権・支配権が移転した場合に、相手方に通知を求めたり契約の解除を認めたりする旨を定める条項とされる。デジタル事業M&Aでは外部プラットフォームの規約や決済の契約に潜むことがあり、見落とすと引渡し後に重要な契約が継続できなくなり得る。
中小M&Aガイドライン(第3版)
中小M&Aガイドラインは、中小企業庁が定めた中小企業のM&Aに関する行動指針で、第3版は2024年(令和6年)8月に公表されました。仲介者・FAが契約前に説明すべき重要事項や手数料、テール条項の扱い、利益相反への対応などを定め、M&A支援機関登録制度の登録要件にもなっています。
事業所得・雑所得
個人の所得区分のうち、継続的・独立的に営む事業から生じる所得を事業所得、いずれの所得にも当たらない所得を雑所得と呼ぶとされる。アフィリエイト収入等は規模や継続性で区分の判断が分かれることがあるとされ、デジタル事業M&Aでは売主の申告区分が過去の損益の見え方や事業実態の説明に関わる場合がある。
事業承継(事業承継・引継ぎ支援センター)
事業承継とは、経営者が会社や事業を後継者に引き継ぐことで、親族内承継・従業員承継・第三者への承継(M&A)の3つに大別されます。事業承継・引継ぎ支援センターは、国が全都道府県に設置する公的な相談窓口で、後継者のいない中小企業の第三者承継やM&Aの相談に無料で応じます。
個人情報保護法・GDPR・越境移転
国内の個人情報保護法やEUのGDPRは、個人情報の取得・利用目的・第三者提供・安全管理などのルールを定める法制度とされる。事業譲渡で会員データや顧客リストを引き継ぐ際は、移転の法的な位置づけや国外へ移す越境移転の扱いが論点になり、同意の扱いなどを誤ると引渡し後にコンプライアンス上の問題に発展し得る。
印紙税(課税文書と電子契約)
印紙税とは、印紙税法の別表に掲げられた課税文書を作成したときに課される国税で、契約書の記載金額に応じて収入印紙を貼って納付します。事業譲渡契約書は営業の譲渡に関する契約書として課税文書に当たりますが、電子契約のように電磁的記録で作成し書面を作らない場合は課税文書に該当せず、印紙税はかかりません。
反社会的勢力排除条項(反社条項)
反社会的勢力排除条項とは、契約の当事者が暴力団・暴力団員・暴力団関係企業・総会屋等(反社会的勢力)に該当しないことを表明・保証し、該当が判明した場合に無催告で契約を解除できると定める条項です。2007年の政府指針と各都道府県の暴力団排除条例を背景に、企業間取引の契約書や利用規約に広く置かれています。
受取証書(領収書)
受取証書とは、代金などの支払いを受けた者が、受け取ったことを証明するために支払った者へ渡す書面で、一般に領収書と呼ばれます。民法 第486条は、支払う者が支払いと引換えに受取証書の交付(または電磁的記録の提供)を請求できると定めています。
善管注意義務
善管注意義務は「善良な管理者の注意義務」の略で、その地位・職業の者として一般に期待される程度の注意をもって事務を処理すべき義務とされる。サイト売買では、基本合意から引渡しまでの間に売主が更新を止めたり収益施策を放置したりして価値が下がると、誠実な運営が果たされたかが問題になり得る。
外部送信規律(電気通信事業法)
外部送信規律とは、2023年6月施行の改正電気通信事業法(第27条の12)で導入された規制で、ウェブサイトやアプリが利用者の端末から外部の事業者へ情報を送信させる場合(アクセス解析タグ・広告タグ等)に、送信される情報の内容・送信先・利用目的を利用者に通知または公表することを義務づけるものです。
契約不適合責任(瑕疵担保責任)
契約不適合責任は、引き渡した目的物が種類・品質・数量などの点で契約の内容に適合しない場合に売主が負うとされる責任で、かつての瑕疵担保責任に相当する考え方として整理されている。デジタル事業M&Aでは、収益が表示と異なる、移管できると説明された資産が移せないといった事態が論点になり得る。
復興特別所得税・防衛特別所得税
復興特別所得税は東日本大震災の復興財源として2013年から所得税額に上乗せされている付加税で、基準所得税額の2.1%です。2027年(令和9年)分からは1.1%に引き下げられ、代わりに防衛力強化の財源として基準所得税額の1%の防衛特別所得税が創設されるため、合計の負担率2.1%は変わりません。
損金算入(損金・損金不算入)
損金とは、法人税の課税所得を計算するときに益金から差し引ける費用・損失のことで、会計上の費用であっても税法の要件を満たさなければ損金に算入できません(損金不算入)。M&Aでは、買主が取得した営業権(のれん)やソフトウエアの償却費、売主側の役員退職金などが損金算入できるかどうかで、取引の実質的なコストが変わります。
本人確認(KYC・犯収法)
KYC(Know Your Customer)は、取引相手の本人性を確認する手続きの総称とされ、マネー・ロンダリングやテロ資金供与の防止の観点から重視される。サイト売買では、当事者が実在し本人であることを確かめることが、なりすましや不正な資金移動、トラブル後の連絡断絶といったリスクの抑制につながる。
消費税
国内における資産の譲渡やサービスの提供に対して課される税です。サイト売買・事業譲渡では、譲渡対象に課税の対象となるものが含まれるか、当事者が課税事業者に当たるかなどによって取扱いが変わり得ます。金額が税込か税抜かを取り違えると手取りや支払額がずれるため、契約書や交渉で明確にしておくことが重要です。
準拠法・合意管轄(帰責事由)
準拠法とは契約の解釈や効力をどの国の法律で判断するかの定め、合意管轄とは紛争になったときにどの裁判所で争うかの定めです。「専属的合意管轄」はその裁判所以外では訴えられないことを意味します。帰責事由(責めに帰すべき事由)は、債務不履行や損害の責任を負うべき落ち度のことで、返金や免責の条件を分ける基準になります。
発信者情報開示請求・削除請求(プロバイダ責任制限法)
発信者情報開示請求は、投稿で権利を侵害された人が、投稿者の氏名・住所・IPアドレス等の開示をサイト運営者や通信事業者に求める、プロバイダ責任制限法(現・情報流通プラットフォーム対処法)上の手続きです。削除請求は投稿の削除を求めるもので、コミュニティ事業の買主は譲渡後に届く請求への対応も引き継ぎます。
知的財産権(商標権等)
知的財産権は、商標権・特許権・著作権・意匠権などの総称とされ、ブランドや創作物などを保護する権利を指す。デジタル事業M&Aでは、サービス名やロゴの商標、ソフトウェアやコンテンツの著作権、外注制作部分の権利処理やOSSライセンスの遵守状況など、権利の帰属と移転の可否が重要な確認事項になる。
確定申告
確定申告は、一定期間の所得と納める税額を自ら計算し、税務署へ申告・納税する手続きとされる。WEBサイトやアプリ等の譲渡で所得が生じた場合は個人・法人を問わず申告が必要になることがあり、売却益がいつの年分になるかや対価の内訳の整理が申告内容に影響し得る。
税務調査(M&A後の追徴リスク)
税務調査は、税務署などの課税当局が申告内容の正確性を確認するために行う調査で、原則として事前通知のうえ帳簿や取引記録を検査します。株式譲渡で法人ごと取得した買主は、譲渡前の期間の申告についても現在の株主として調査と追徴を受け、表明保証で売主の責任と定めても税務署はその契約に拘束されません。
競業避止義務
事業を譲渡した売主が、譲渡後の一定期間・一定範囲で、競合する事業を行わないことを約する義務です。デジタル事業では売主が同様のサイトやサービスをすぐ作り直せてしまうことがあり、取り決めがないと買主が取得した事業価値が空洞化しかねません。一方で範囲が過度に広いと有効性が問題となる場合があります。
著作権の帰属
コンテンツやソースコードなどの著作権が誰に帰属し、譲渡によって買主へ確実に移転できるかという論点です。外注の作成物やフリー素材、外部ライブラリが混在すると権利が売主に帰属せず、そのままでは移転できないことがあります。一般に、外注時の契約で著作権の移転や利用許諾の定めを確認することが重要とされます。
著作権・肖像権(コンテンツの権利侵害)
著作権は文章・写真・動画・プログラムなどの創作物を保護する著作権法上の権利、肖像権は自分の容貌をみだりに撮影・公表されない判例上の人格権です。事業譲渡でコンテンツを引き継いだ買主は以後の掲載について自らが侵害の主体になり、権利者が削除や賠償を求める相手も現在の運営者である買主です。
表明保証
契約当事者が、契約締結時点で一定の事実が真実かつ正確であることを相手方に表明し、保証する条項です。デジタル事業M&Aでは、数値や著作権の帰属、外部サービスへの依存関係など買主が外から検証しきれない事項が多く、表明保証はこうした情報の非対称性を補う役割を一般に担うとされます。
補償条項・損害賠償
補償条項は、契約違反や表明保証違反、簿外債務の発覚などで相手方が損害を被った場合に、一方がその損害を補償・賠償する旨を定める条項とされる。デジタル事業M&Aでは引渡し後のアカウント停止や収益の急減などへの備えになり、一般に補償の範囲・上限額・請求できる期間が交渉の中心になるとされる。
課税事業者・免税事業者
消費税の納税義務がある事業者を課税事業者、一定の基準により納税義務が免除される事業者を免税事業者と呼ぶとされる。M&Aでは売主・買主の区分により消費税の取扱いや仕入税額控除の見え方が変わり得る。個人運営のサイト売却では売主が免税事業者であることも珍しくなく、対価が税込か税抜かが落とし穴になりやすい。
譲渡所得
資産を譲渡したことによって生じる所得の区分の一つです。サイト売買・事業譲渡では売却額がそのまま課税対象になるわけではなく、一般に取得費や譲渡に要した費用などを差し引いた利益の部分が問題になります。どの所得区分・課税方式に当たるかは、譲渡対象の性質や売主が個人か法人かによって異なります。
譲渡所得の課税区分(長期・短期/総合課税)
資産を譲渡して得た所得を税法上どの所得区分に当てはめるかの考え方。譲渡所得とされる場合、所有期間によって長期・短期に分かれ、扱いが変わるとされる。売却益が譲渡所得・事業所得・雑所得のいずれに当たるかは個別事情で判断が分かれ得るため、売主は対価の構成と区分の関係を事前に整理しておくことが重要となる。
違約金(違約金条項)
違約金は、契約違反の際に支払う金額をあらかじめ定めたもので、民法上は損害賠償額の予定と推定され(民法第420条)、損害額を立証せずに請求できます。RIKKA M&Aの利用規約では中抜き行為に成約手数料相当額の2倍(最低20万円)、連絡先の開示・サイト外への誘導に1件10万円の違約金を定めています。
重要事項説明(取引に関する重要事項)
M&Aにおける重要事項説明とは、中小M&Aガイドラインが仲介者・FAに求める、契約締結前に手数料・業務範囲・担当者の資格や実績・秘密保持・直接交渉の制限・テール条項・免責などを書面で依頼者に説明する手続きです。RIKKA M&Aは仲介者ではありませんが、同じ項目立てで「取引に関する重要事項のご説明」を掲載しています。
関連法規(古物営業法・特商法・景表法・薬機法)
関連法規は、事業の内容に応じて遵守が求められる業法・取引規制の総称とされ、古物営業法・特定商取引法・景品表示法・薬機法などがある。サイト売買では表示や広告、許認可の要否が引き継ぎ後のリスクになることがあり、ネット通販サイトなどの買主は特定商取引法に基づく表記を自分の情報に差し替える必要がある。