事業指標・KPIの用語

収益・トラフィック・SaaSの健全性を測る数値指標。査定や事業評価の根拠になります。

ARPU・ARPA
一定期間の収益をユーザー数で割った1ユーザーあたり平均収益がARPU、アカウント(企業)単位で割ったものがARPA。顧客単価の水準と推移を端的に示す基礎指標。M&Aでは推移が値上げ余地や顧客の質を映すが、無料ユーザーや休眠アカウントを分母に含めるかの定義が揃わないと、開示資料間で数字が食い違う。
ARR・MRR(経常収益)
MRR(月間経常収益)・ARR(年間経常収益)とは、サブスクリプション等で毎月・毎年くり返し発生する継続的な収益を指す指標です。スポット収益と区別され、SaaSやサブスク事業の安定性と価値を測る中核KPIです。
CAC(顧客獲得単価)
新規顧客を一人獲得するためにかかった費用(広告費・販促費など)の平均額で、集客の効率を示す指標です。顧客生涯価値(LTV)との比率や回収期間で収益構造の健全性を測ります。買い手にとっては譲渡後も同じコストで集客を続けられるかの判断材料で、SEOやSNSの集客も運用の人件費を含めて見る必要があります。
GMV・客単価(AOV)
一定期間に取引された商品・サービスの総流通額がGMV、1回の注文あたり平均購入額が客単価(AOV)。ECやマーケットプレイス型事業の規模と単価を示す基礎指標で、売上そのものとは区別される。デジタル事業M&AではGMVと実売上の混同が禁物で、マーケットプレイス型で手元に残るのは流通額の一部にすぎない。
GRR(総収益維持率)
既存顧客から得ていた収益のうち、解約やダウングレードによる減少分を除いて維持できた割合。アップセルによる増収を一切含めないため上限は100%で、収益基盤の「守り」の強さを示す。NRRが高くても一部の大口顧客の増額による底上げの場合があり、M&Aでは両者を並べて譲渡後に崩れにくいかを確認する。
LTV/CAC比・CAC回収期間
顧客生涯価値(LTV)を顧客獲得コスト(CAC)で割った比率と、CACを回収するまでの月数。獲得した顧客が投じたコストに見合うリターンを生むかを示し、事業の採算性を端的に表す。一般に3倍以上が健全な目安とされ、比率が低い、または回収期間が長い事業は買収後に獲得を続けると資金繰りを圧迫する恐れがある。
LTV(顧客生涯価値)
LTV(顧客生涯価値)とは、一人の顧客が取引開始から離脱までに事業へもたらす利益の総額です。顧客一人あたりの収益力を示す指標で、獲得コスト(CAC)と対比することで、事業の収益構造が健全かを判断します。
MAU・DAU(アクティブユーザー)
一定期間に実際にサービスを利用したユニークユーザー数。月単位がMAU、日単位がDAU。登録者数ではなく「使われている」実態を示し、両者の比(DAU/MAU)で利用の習慣化度合いを測る。デジタル事業M&Aでは「アクティブ」の定義で数字が大きく変わるため、開示時の定義をそろえて確認することが欠かせない。
MoM成長率
前月比での成長率。当月の値が前月からどれだけ伸びたかを百分率で示し、初期段階の事業や月次で動く指標の勢いを捉えるのに用いられる。デジタル事業M&Aでは今の勢いを映す一方、季節性や母数の小ささで大きく振れるため、一点だけで判断せず前年同月比(YoY)や複数月の傾向と併せて読む必要がある。
NRR(売上維持率)
NRR(売上維持率/ネットレベニューリテンション)とは、既存顧客からの収益が一定期間でどれだけ維持・拡大したかを示す指標です。新規顧客を含めず、解約やダウングレードによる減少とアップグレードによる増加を差し引きで評価します。
PV・UU
PV(ページビュー)はページが閲覧された延べ回数、UU(ユニークユーザー)は重複を除いた訪問者の実数です。WEBサイト・メディアのトラフィック規模を示す基本指標で、集客力=収益の源泉を測る出発点になります。
チャーンの種類(カスタマー/レベニュー/ネガティブ)
チャーンを測る視点の分類。解約した顧客数で見るカスタマーチャーン、失われた収益額で見るレベニューチャーン、既存顧客の増額が解約減を上回り収益が純増するネガティブチャーンに大別される。デジタル事業M&Aでは、顧客数の解約率だけでなく収益額で見た指標を併せて確認しないと、収益の質を読み違える。
チャーンレート(解約率)
チャーンレート(解約率)とは、一定期間に契約を解約・離脱した顧客や収益の割合です。サブスク・SaaS事業の収益持続性を測る最重要指標で、チャーンが高いほど経常収益が目減りし、事業価値の評価も下がります。
ユニットエコノミクス
顧客1人(1単位)あたりの収益とコストの採算構造を分析する考え方。LTVとCACの関係を中心に、規模を拡大したときに事業が利益を生むのか赤字が膨らむのかを見極める。デジタル事業M&Aでは、売上や登録者数が大きくても単位あたりの採算が崩れていれば、広告を止めた途端に縮む事業である可能性がある。
月間営業利益
月間営業利益とは、事業の月間売上から、その事業を運営するために必要な費用(原価・広告費・サーバー費・外注費など)を差し引いた、本業で生み出す月次の利益です。デジタル事業M&Aの価格算定で基準となる最重要の数値です。
純利益
売上からすべての費用(売上原価・販管費・支払利息・税金等)を差し引いた後に最終的に手元へ残る利益。事業の最終的な採算を示すが、デジタル事業M&Aでは月次利益やSDEと併せて読む必要がある。小規模事業ではオーナー個人の報酬や私的経費、一時的な費用が混在しやすく、本来の収益力とずれることがある。
継続率(リテンション)
ある時点の顧客やユーザーが、一定期間後にどれだけ残って利用を続けているかの割合。チャーン率の裏返しで、サービスの定着度と収益の持続性を示す中核指標。M&Aでは将来収益の予測可能性を左右し、月次・年次・コホートなど測り方を混ぜた比較や、無料と課金のユーザーを区別しない集計が落とし穴となる。