税務調査(M&A後の追徴リスク)とは
税務調査とは、税務署などの課税当局が申告内容の正確性を確認するために行う調査で、国税通則法に基づき原則として事前通知のうえ帳簿や取引記録を検査します。更正・決定ができる期間は法定申告期限から原則5年、偽りその他不正の行為があれば7年で、株式譲渡で法人ごと取得した買主は、譲渡前の期間についての調査と追徴を現在の株主として受けることになります。
税務調査は「怪しい会社に来るもの」ではなく、申告内容の確認として定期的に行われます。任意調査は納税者の同意のもとで行われ、事前に調査の日時・対象税目・対象期間が通知されます(国税通則法 第74条の9)。調査の結果、申告に誤りがあれば修正申告を求められ、応じなければ更正処分が行われます。追徴には本税のほか、過少申告加算税(10〜15%)、仮装・隠蔽があれば重加算税(35%、無申告なら40%)、納付が遅れた期間の延滞税が加わり、悪質と認定された場合の総負担は本税の1.5倍を超えることもあります。
M&Aでこの制度が重い意味を持つのは、株式譲渡です。法人格ごと取得するため、対象法人が譲渡前に行った申告の誤りは、そのまま買主が支配する法人の税務リスクとして残ります。表明保証で「過去の租税債務は売主の責任」と定めていても、税務署はその契約に拘束されず、法人に対して直接更正・徴収を行います。買主はまず追徴を支払い、その後に売主へ補償を請求する二段構えを強いられます。会計士の財務デューデリジェンスは決算書が会計基準に照らして適正かを見るもので、個々の取引が課税当局の論理で通るかは別の検証(税務デューデリジェンス)が要ります。役員報酬の要件不備、フリーランスへの外注費の給与認定、消費税の課税区分や海外SaaSのリバースチャージの処理漏れ、関連当事者取引の寄附金認定などが典型です。
事業譲渡では、契約書に列挙した資産だけを引き継ぐため、譲渡前の期間の租税債務は原則として売主に残ります。デジタル事業のサイト売買の多くが事業譲渡であるのは、この点でも合理的です。ただし、譲渡代金の内訳(課税資産と非課税資産、営業権の扱い)が曖昧だと、買主側の消費税の仕入税額控除や償却が後から否認されることがあります。RIKKA M&Aでは、基本合意後に対価の配分を契約書に明記でき、税金・手取りシミュレーターで内訳による違いを試算できます。個別の税務判断は税理士に確認する事項です。