簿外債務・偶発債務とは

ぼがいさいむ・ぐうはつさいむ Off-balance and Contingent Liability リスク・トラブル

簿外債務は帳簿に計上されていない債務、偶発債務は将来一定の条件が成立した場合に発生しうる債務で、いずれも財務諸表の表面からは把握できない。デジタル事業M&Aでは未払いの外注費・サーバー費用や解約済みと思われた継続課金などが典型で、クロージング後に判明すると価格交渉のやり直しが効かない。

簿外債務は未計上の借入・未払金・退職給付などを指し、偶発債務は係争中の損害賠償や保証債務など発生が条件付きのものを指します。いずれも財務諸表の表面だけ見ても把握できず、デジタル事業M&Aでは未払いの外注費・サーバー費用、係争中の権利関係、解約済みと思われた継続課金などが典型例として隠れていることがあります。

買主にとって重要なのは、これらがクロージング後に判明すると価格交渉のやり直しが効かない点です。とりわけ事業譲渡か株式譲渡かによって、買主が承継する債務の範囲は一般に大きく異なるとされます。デューデリジェンスで未計上項目を洗い出し、表明保証や補償条項で手当てするのが一般的な実務です。

RIKKA M&Aでは財務デューデリジェンスや収益エビデンスの整合性確認、技術デューデリジェンスによる依存関係・継続課金の精査を通じて、こうした見えない負担の兆候を可視化します。発見した懸念は契約での補償の枠組みで手当てすることが多く、その法的効力は一般に契約内容により異なるとされます。具体的な会計・税務上の取扱いは個別の事情や最新の制度により異なるため、税理士等の専門家にご確認ください。

デジタル事業の株式譲渡で実際に見つかる簿外債務の典型が未払残業代です。個人事業から法人化した会社や、少人数で長時間労働が常態化していた開発会社では、残業代が計算されていないか固定残業代の要件を満たしていないことが多く、労働者からの請求権は賃金の支払期日から3年(当面)遡ります。買収後に元従業員から請求が届けば、支払うのは現在の株主である買主です。法務・労務のデューデリジェンスでは、勤怠記録・賃金台帳・雇用契約書・36協定を確認し、未払いの見込み額を価格や表明保証・補償に反映させます。事業譲渡では雇用契約は自動的に承継されないため、この債務は原則として売主に残ります。