IaC・IAM(インフラのコード化と権限管理)とは
IaC(Infrastructure as Code)とは、サーバー・ネットワーク・データベースなどのインフラ構成をTerraformやCloudFormationのようなコードで定義し、再現可能にする手法です。IAM(Identity and Access Management)はクラウドのユーザー・ロール・権限を管理する仕組みで、AWSのIAMが代表です。譲渡では、IaCがあればインフラを買主のアカウントに再構築でき、IAMの棚卸しで旧オーナーや退職者の権限を確実に剥がせます。
「サーバーの設定は全部クラウドのコンソールで手作業」という事業は、引き継ぎで最も苦労します。どの設定が必要でどれが不要か、設定した本人にも分からず、買主は動いている環境を触れずに運用を続けるしかありません。IaCはこの状態を解消するもので、インフラの構成がコードとして版管理されていれば、買主は自分のアカウントに同じ環境を作り直せ、変更の履歴も読めます。
IAMは別の問題を解決します。クラウドのアカウントには、運営者本人、過去の外注先、退職した開発者、連携している外部サービスなど、多数のユーザーとロールとアクセスキーが存在します。事業を引き継いだ買主が、誰が何にアクセスできるかを一覧できず、旧オーナーの権限を剥がしきれない状態は、ゾンビ権限そのものです。技術デューデリジェンスでは、①IaCの有無と本番環境との一致(コードにない手作業の変更が無いか)、②IAMユーザー・ロール・アクセスキーの一覧と最終使用日、③ルートアカウントの保護(多要素認証・アクセスキーの不在)、④外部サービスに付与したロールの範囲、を確認します。買主のアカウントへ移管する方式(AWS Organizationsでのアカウント移動、プロジェクトの移管)が使えるか、再構築が必要かは、IaCの有無で決まります。
RIKKA M&Aの技術デューデリジェンスは、リポジトリにIaCの定義やCI/CDの構成があるかを能力の指標として読み取り、シークレットのハードコードを検査します。資産移管チェックリストの「サーバー・インフラ契約」の項目は、アカウントの移管または再構築と、旧権限の無効化まで含めて受領確認することを想定しています。譲渡準備チェックの「外部SaaS」「契約名義」の軸は、これらのアカウントが個人名義になっていないかを問うものです。