売り手向け

デジタル事業を売却する売り手向けに、安全に・適正な価格で成約するための実務知見を扱うカテゴリです。仲介業者の選び方、買収後サポートの適切な線引き、買い手に不安を与えないための法令遵守・情報開示のポイントなど、成約後のトラブルを防ぐための売り手側の備えを解説します。

マイグレーション履歴のないDBの怖さ

マイグレーション履歴はデータベースの設計図に対する版管理にあたる。これが本番と食い違う事業では、手元のコードから本番と同じスキーマを再現できず、買い手が環境を立てても本番と同じテーブルにならない。空のDBに全部当ててdiffを取れば数分で確認できる。

戻せないバックアップは無いのと同じ

DDで「バックアップは取っていますか」と聞いても何も確認できていない。取得は自動化されるが復元は誰も試していないためだ。手順書の不在、ファイルとシークレットの取得漏れ、環境差分、復号キーの同居、個人アカウント保存という五つの型と、検証手順を解説する。

個人開発アプリの価値を消すストア規約

個人開発アプリの売却では、ストア規約と審査基準が事業側の都合と無関係に改定され、昨日まで通っていた実装が明日は違反になる。買い手が見るのは今の審査合否ではなく、規約変更に追随できる作りかどうかだ。価値が消える4か所と追随可能性の測り方を整理する。

サイト売買の失敗は引き渡し後に始まる

サイト売買の失敗は交渉でも契約でもなく、引き渡しの数週間〜数ヶ月後に顕在化する。引き渡し日には全部動いて見えるからだ。月次バッチ、証明書の期限、ドメイン更新、定期課金のサイクルという当日には観測できない周期を、買い手と売り手がどう検査すべきかを整理する。

ブログ売却でアドセンスは引き継げない

ブログ売却では記事もドメインもサーバーも渡せるが、収益を生んでいるアドセンスのアカウントだけは譲渡できない。広告収益が事業ではなく「人」に紐づく構造と、売り手の月間収益が買い手の手元で再現されない理由を、価格交渉への織り込み方まで整理する。

サイト売却の相場を消す被リンク依存

サイト売却の相場「月間利益の24ヶ月分」の倍率とは、その利益が何ヶ月続くかの予想でしかない。有料リンクや自作自演リンクで順位を支えた事業は継続月数が読めず、倍率が下がるのではなく倍率という計算自体が成立しなくなる。価格が消える構造と取り戻す手順を整理する。