売り手向け

デジタル事業を売却する売り手向けに、安全に・適正な価格で成約するための実務知見を扱うカテゴリです。仲介業者の選び方、買収後サポートの適切な線引き、買い手に不安を与えないための法令遵守・情報開示のポイントなど、成約後のトラブルを防ぐための売り手側の備えを解説します。

個人開発の売却を止めるアカウント名義

個人開発の売却を止めるのは、コードでも売上でもなくアカウント名義である。ストア・クラウド・決済・ドメイン・ASPの名義を「移管できる/アカウントごと渡すしかない/規約上譲渡できない」の3レベルで判定し、売り手の棚卸し手順と買い手の移管可能性DDを整理する。

中核ノウハウがプロンプトに閉じ込められた事業

コードは薄いのに競合を上回るAIプロダクト。その競争優位はコードにもDBにも載らず、無数の試行錯誤の末にたどり着いた「プロンプト」という暗黙知に宿る。問題はそれが契約書にもコードにも明示されず、一人の頭の中にしか体系的に存在しないこと。プロンプト資産の不可視性、属人化の構造、移管できないことによる価値毀損、文書化・バージョン管理・帰属というDDの実務を整理する。

AIチャットボットの誤回答は誰が賠償するのか

カスタマーサポートをAIに置き換えた事業は、効率化と引き換えに新種の責任を抱える。チャットボットが誤回答(ハルシネーション)で顧客に損害を与えたとき、その賠償責任は事業者に帰属し、買い手は事業ごと承継する。海外の賠償事例の射程、日本の消費者保護・景表法・債務不履行の交差、免責規約の限界、ログ・ガードレール・保険という法務DD項目を整理する(法的助言ではなくDD論点の整理)。

ファインチューニング済みモデルは誰のものか

自社専用にファインチューニングしたモデルは、動いていても引き渡せるとは限らない。中核価値が宿る「重み」の所在、学習レシピと環境の再現性、Llama・Gemma等ベースモデルの商用条項、学習データの来歴という4つの盲点を移管DDの観点で整理する。重み・レシピ・データ・環境の四点開示と再学習リハーサルで、モデルを継承可能な資産に変える実務を解説する(法的助言ではなくDD論点の整理)。

AIエディタで書かれた事業コードの権利帰属

CursorやCopilotが生成した事業コードは誰のものか。M&Aの知財表明保証が前提とする権利の明確さがAI介在で揺らぐ。著作権保護の不確実性、学習データ由来の権利侵害リスク、AIツールの規約と権利移転、委託者の権利帰属契約、表明保証・補償・エスクローへの反映を技術と法務の境界で整理する(法的助言ではなくDD論点の整理)。

財務系M&A仲介が技術DDを永遠にできない構造

財務系M&A仲介が技術DDを実施できないのは怠慢ではなく、人材構造・評価指標・インセンティブの構造的欠陥だ。財務諸表という共通言語の上に最適化された業態が技術品質を評価対象外に置く帰結として、買い手は隠れ負債を満額で買い、売り手は技術資産を安く売る。買い手・売り手の対処を整理する。

App Store・Google Play所有権移管の壁

スマホアプリ事業のM&Aは、AppleとGoogleの移管プロセスを通過しなければ所有権が移らない。App Transferの阻害条件、Google Play署名鍵の喪失リスク、サブスクリプション入金経路の切替、外部SDK紐付けの棚卸し、移管可能性をバリュエーションとクロージング条件にどう織り込むかを整理する。