サイトを2,000万円で売却したら、不当訴訟を起こされた話。

サイトを2,000万円で売却したら、不当訴訟を起こされた話。
サイト売却後、買い手から根拠不明の言いがかりで返金訴訟を起こされても、仲介業者は「場所を貸しただけ」とトラブル対応を一切引き受けてくれない。売り手は成約後の紛争対応まで踏み込んで、仲介業者の責任範囲を事前に見極める必要がある。

突然ですが、あなたは自分が10年以上かけて血と汗で育て上げたシステムを売却した直後、買い手から不当に訴えられた経験はありますか?

私はあります。未経験の残業250時間からスタートし、独学で月間6000万PVのサイトを構築。そして2,000万円で事業譲渡をした直後、私は買い手からの理不尽な訴訟と、トラブルが起きた途端に逃げ出す無責任な仲介業者の「闇」に直面しました。

記念すべき第1回目のコラムとなる本記事では、「私がなぜ手数料ばかりを取る無責任なM&Aコンサルを憎み、自ら真の伴走者となるべくRIKKA M&Aを立ち上げるのか」—その泥臭くも生々しい天国と地獄の実体験を、一切の綺麗事を抜きにして赤裸々にお話しします。

6000万PV超のサイトを作るまで

6000万PV超のサイトを作るまで

地獄の残業250時間…未経験からのキャリア開始

ドン・キホーテ秋葉原店5階にメイド喫茶の@ほぉ〜むカフェがオープンした2ヶ月後の2004年10月。私は秋葉原の会社で、完全に未経験のJavaエンジニアとしてキャリアをスタートしました。

当時はまだAKB48劇場もオープン前で、萌えの街というよりまだPCの街だった頃。20時を過ぎるとほとんど飲食店も閉店してしまう、古き良きアキバの頃でした。

「WEBの仕事をしたいな」と思って調べて、WEBならJavaというのをどこかで見て(今思うと、それはWEB系であってWEBではないと当時の自分に教えてあげたいです)、未経験で入れる会社を探していました。

面接を受けた時に寝袋がたくさんあったり、なぜか面接中に「じゃあこれから飲みに行こう」と飲みに連れて行かれたりと、今思うとセーブポイントがたくさんあったはずなのですが、どこでもセーブしておらずそのまま入社しました。

まあ蓋を開けてみたら、残業250時間の常時デスマーチ状態の超絶ブラック企業でした。家にも帰れず、数日に1日は満喫でシャワーを浴びて、朝パックの食べ放題のおにぎりでお腹を膨らませて仕事をするような日々です。

1年に満たない時間でしたが、「精神と時の部屋」状態でエンジニアとして仕事をしていき、「このままだと間違いなく身体を壊してしまう」という状況だったのと、やはりWEBの仕事がしたいと思って、当時アフィリエイトブームで上場を狙っていた株式会社インタースペースに入社しました。

そこでは、Javaエンジニアとして当時すでに古くなっていた管理画面のフルリニューアルの設計・実装を進めると同時に、不正アフィリエイターの調査なども担当しました。マーケティング部署へ異動してからは、WEB制作のディレクションやSEO事業部の新規立ち上げなど、いま思うとインタースペースはやりたいことをやらせてくれる本当にいい会社でした。

初めてのサイト構築とアフィリエイト譲渡の経験

元々Javaエンジニアだったので、「PHPの勉強がてら」ということでコミュニティサイト構築のCMSであるXOOPSを使っていくつかサイトを作っていました。

当時はアフィリエイトブームの真っ只中。WordPressやMovableTypeを使ったアフィリエイトサイトが雨後の筍のごとく乱立していた時代で、どのような商材が流行っているかも把握していました。そこで、当時ブームだったレーシックの情報サイトを勉強がてら作り、ある程度収益が出る状態になってから初めてWEBサイトの譲渡を経験しました。

その後、「どのようなサイトを作ろうか」と考えて色々調べていたところ、当時はまだガラケー全盛期。mixiが全盛期で、コミュニティブームでもあったので、XOOPSを使ってメル友募集掲示板を作りました。

「メル友募集掲示板」のヒットと独立決意

オープン後1年は本当に数名しかいない過疎な掲示板サイトでしたが、検索順位が上がるにつれて徐々に人も増えていき、売上も2年目には10万円くらいになりました。

その後どんどんユーザーも売上も増えていき、売上が30万円を超えたあたりから、サーバーの管理や掲示板の管理などで「夜全く寝ずに対応をして出社する」ようになってしまい、限界を感じて独立することにしました。

売上が30万ありましたが、サーバー代も当初はロリポップから始めたものの、Xserver、VPS、専用サーバーと乗り換えていったので相当かかるようになっていて、今思うとよくあのタイミングで独立したと思います。若かった。

突然の出会い系サイト認定。絶望からのV字回復

独立した翌月にちょうど「出会い系サイト規制法」が改正され、出会い系サイトに該当するとして、サイトを閉鎖するように公安から連絡が入って絶望しました。

しかし、出会い系サイトとして運営しているつもりは毛頭なかったので、公安と直接話し、「どうすれば出会い系サイトとして認定されないのか」を掛け合いました。結果、男女の表記があると出会い系サイトになってしまうとのことだったので、即日男女の表記を外しました。

サイトのユーザーからすると、相手が男性か女性か分からなくなるので不便になるかと思っていたのですが、それが故にプロフィールをしっかり見るようになったり、「男ですか?女ですか?」から会話が始まることで掲示板をよく見るようになったりと、サイトの滞在時間が爆発的に増加しました。それに伴って売上も大きく伸びていきました。

サイトの運営方法などについては改めて記事を書いていこうと思っていますが、そこからは順調にトラフィックも売上も伸びていき、だいたい毎月500万円くらいの売上がたつようになりました。

月500万の売上到達と、訪れたGoogle神の鉄槌

ただ、他にも「うつ病」で検索3位のメンタルヘルス掲示板など複数サイトを運営していたものの、最大規模である「メル友募集掲示板」は、SNSの台頭によりジャンル自体が衰退傾向にあることが日に日に顕著になっていく状況でした。

また、自前で広告配信サーバーを構築して、広告原稿やバナーの制作も全て自分一人でやっていたので広告運用の手間も相当なもの。その手間軽減のために、Google Adsenseに全ての広告を乗り換えたのですが、乗り換えた2ヶ月後に突然「出会い系サイト」と認定されてしまい、アカウントBANされて2ヶ月分の売上も全て没収されました。

反論してもネットの神ことGoogle様は聞く耳すら持ってくれず、呆然とすると共に完全に心がボッキリと折れてしまいました。売上を全て没収されたのにサーバー代だけは月100万円以上かかる絶望的な状況になり、サイトを売却することに決めたのです。

大規模サイトのM&A(サイト売却)と不当訴訟

大規模サイトのM&A(サイト売却)と不当訴訟

仲介を通した売却成立と、穏やかな正月の終焉

某サイト売買プラットフォームを使ってサイト売却の募集を開始したところ、興味を持ってくれた買い手から「金額も大きいので直接取引ではなく、仲介を通した売却に切り替えられないか」と相談を受け、仲介を挟んだ契約に切り替えました。

デューデリジェンスを行い、全データを揃えて契約書を交わし、売却自体はスムーズにいって無事年末を迎えることができました。「とてもよい気分でこれからのことを考えられる、よい正月を迎えられた」と記憶しています。

しかし、年が明けてすぐに買い手から「警視庁NGリストに購入したサイトが掲載されているから広告収入が上がらない。サイト売却代金(2,000万円)を全て返金しろ、さもないと訴訟する」という連絡がありました。

買い手からの理不尽な返金要求「警視庁NGリスト」

当時、Twitter(現X)で集まった未成年の集団自殺事件などがあった時期で、私は警察庁が監督省庁として参加していたLINE主幹事の「青少年ネット利用環境整備協議会」に設立当時から参加しており、総務省の勉強会で登壇したりもしていました。
つまり、「警視庁NGリスト」なるものがもし存在すれば、当然私の耳に入る立場でした。

そんなあり得ない言いがかりで売却代金を返金することも、10年以上かけて育てたサイトの運営ノウハウが詰まったWEBサイトのソースコードも全て渡した状態で返金など受けられるわけもなく、結果的に訴訟へと発展しました。

裁判官もキレる原告の無力な証拠と無茶苦茶な主張

当時コロナ禍が始まったこともあって緊急性を要する裁判以外は延期される状況下で、2年近くの裁判に入っていくのですが、裁判官も余りのことに原告の代理人弁護士にキレるような無茶苦茶な裁判でした。

そもそも、原告が主張する「警視庁NGリスト」なるものの証拠が存在しません。裁判官が再三要求してやっと出てきた証拠が、「第三者にそのようなリストがあると聞いた」という、どう考えても後付けの薄っぺらいものでした。

また、「売上が事前のデューデリジェンスで聞いていた1/10しか上がらない」と主張するものの、当時10社以上の広告代理店やメディアレップから広告を入稿もらっていたにも関わらず、相手が証拠として提出してきたのは「1社分の売上」のみ。これについても裁判官から正しい証拠を出すように言われても提出を拒否される始末です。

泥沼の訴訟による疲労と、実質的勝訴(和解)の選択

掲示板を覗いてみると、「最近利用規約違反の投稿が削除されず垂れ流しになっている」「通報しても全く対応してくれなくなった」という苦情が多くなっていました。コミュニティサイトは、毎日ちゃんと運営(泥臭い監視と対応)しないと、すぐに荒れてしまってユーザーが離れてしまいます。
Google Analyticsにまだ入れる状態だったので確認してみたところ、買い手側がちゃんと運営できていないため、トラフィックが急激に下がっていました。「ユーザーが減少すれば売上が減少するのは当然なことだ」と、Google Analyticsの情報も証拠としてこちらから提出しました。

これ以外にも明らかに虚偽と判断される証拠ばかり出してくるので、都度反論のための情報をまとめて資料を作るだけでも膨大な時間がかかってしまい、次のことなど時間的にも精神的にもとてもじゃないけど取りかかれない状況でした。

そんな中、裁判官から「売上金額の1割で和解すること」を提案されました。

私としては詐欺にあったようなものなので、絶対に和解するつもりはなく判決まで持っていくつもりだったのですが、弁護士と相談したところ「売上金額の1割の和解というのは、事実上こちらの勝訴だといえる結果」とのこと。裁判官からの和解提案を断ってまで判決に固執すれば裁判官の心証を悪くする上、どの裁判でも「100%の勝訴」は断定できないということで、やむなく和解を受け入れて終結させることにしました。

売買プラットフォームの無責任さと闇

売買プラットフォームの無責任さと闇

「場所を提供しただけ」という仲介業者の逃げ口上

買い手との直接取引ではなく、「売買プラットフォームの仲介」での売買だったので、もちろん訴訟をおこされた段階で仲介事業者にも相談をしました。しかし、彼らの口から出たのは信じられない言葉でした。

「我々としては場所を提供しただけである」
「デューデリジェンスも、見える範囲しか責任がない」

要するに、手厚い手数料を取りながら「自分の責任を回避すること」しか考えておらず、いざトラブルになると「弁護士を紹介することならできますよ」としか言いませんでした。あまりにも無責任で、名前を出してやりたい気持ちでいっぱいです。

手数料だけを取る「M&A業者」が抱える強烈な闇

厳密に法律が整備されていて資格がないとできない不動産の仲介などであれば、決してあり得ない話です。何の資格も、知識も、実務経験もなくても名乗れてしまうWEBサイト仲介業者というのは、「手数料さえ取れればそれでいい」という強烈な闇を抱えていると言わざるを得ません。

裁判が和解で終わった後に、この仲介業者としての責任を問う裁判を起こそうかとも考えていました。弁護士の話でも「実際に(買い手との)裁判が実質勝訴といえる結果になっているので、十分に仲介業者の責任を問うことはできる」という見解でした。

2年にも渡る裁判で心身ともに疲れていたこと、そして10年以上かけて育てたサイトがこのような泥沼の結果で終わってしまったことの悔しさや悲しさは、確かにありました。しかし、いつまでも終わったことを悔やむよりは、前を向いて次のことを考えた方がよいと思い、仲介業者への訴訟はやめることにしました。

最後に:「コンサルにはならない」RIKKA M&Aの誓い

「コンサルにはならない」RIKKA M&Aの誓い

AI時代に蔓延る「無責任なプラットフォーム」への危機感

皆様は、WEBサイトやWEBサービスの売買プラットフォームを使って「安心」して取引ができますか?

もし、ヤフオクやメルカリのように「どこで買っても同じ商品」を購入するのであれば、場所を提供するだけのプラットフォーマーを通しての取引でも問題ないでしょう。

しかし、Claude CodeなどのAIエージェントが台頭し、誰でもWEBサイトやシステムが作れる時代です。それにも関わらず、技術的なDD(デューデリジェンス)もできずにただ場所を貸すだけのプラットフォームや、手数料を取れればそれでいいという何のサポートもない業者、そしてパワポだけは随分立派に作るけれど何の責任も取らない「売買コンサルタント」の蔓延。

「自分が時間をかけて作った大切なサービスを安心して売却できる場所」「貴重なお金をかけるのに対して本当に安心して購入できる場所」が、存在しているとは到底言えないのが現状です。

血を流した当事者だからこそ、真の伴走者になる

自分自身が10年以上かけて0から育てたWEBサイトを譲渡し、その後詐欺に遭ったような形で心身ともに疲弊した当事者として。そして、長年のエンジニア経験を持った技術者として。

私は、口先だけの無責任なコンサルタントや、ただ場所を貸すだけのプラットフォーマーには絶対になりません。現場で血を流した「真の伴走者」になれる、本当に安心して取引できるプラットフォームを作りたいと思っています。

「RIKKA M&A」プラットフォームの本格的な公開はまだ少し先になってしまいますが、それまでの間、このコラムを通じて、長年のサイト運営経験やエンジニア経験に基づく「サイト売却のリアル」や、訴訟を経験したからこそわかる「あの時ああしておけばよかったという後悔」、実戦的な経験則を発信していこうと思っています。

M&Aの売買には、法律知識やお金に関する知識、税務に関する知識がないと圧倒的に受け身になってしまい、何かあっても身を守ることはできませんし、事前にトラブルを回避することもできません。

そのため「RIKKA M&A」では、机上の空論を排し、BIG4と呼ばれる国内最大手の税理士法人出身の税理士など、圧倒的な実戦力を持つプロフェッショナルをお金・税務に関する監修に迎えることが決定しています。

自ら手を動かすエンジニアとして、4回の事業譲渡と絶望を経験した当事者として。そして、確固たる法的なバックグラウンドを持った法律の専門家の監修という両輪で、「徹底的に人に寄り添う、本当に安心できる売買プラットフォーム」を皆様に提供していくことをお約束します。

この記事の著者

RIKKA M&A 編集部

これまで4回の事業譲渡を実現。上場企業にてエンジニア、制作ディレクション、SEO事業立ち上げを歴任。副業で始めた複数の掲示板サイトを国内最大規模まで成長させて事業譲渡。日本のM&Aに透明性と精度をもたらすべく、デジタル事業のM&Aプラットフォーム『RIKKA M&A』を立ち上げ。