M&A コラム

サイト売却の相場を消す被リンク依存

サイト売却の相場「月間利益の24ヶ月分」の倍率とは、その利益が何ヶ月続くかの予想でしかない。有料リンクや自作自演リンクで順位を支えた事業は継続月数が読めず、倍率が下がるのではなく倍率という計算自体が成立しなくなる。価格が消える構造と取り戻す手順を整理する。

個人開発の売却を止めるアカウント名義

個人開発の売却を止めるのは、コードでも売上でもなくアカウント名義である。ストア・クラウド・決済・ドメイン・ASPの名義を「移管できる/アカウントごと渡すしかない/規約上譲渡できない」の3レベルで判定し、売り手の棚卸し手順と買い手の移管可能性DDを整理する。

中核ノウハウがプロンプトに閉じ込められた事業

コードは薄いのに競合を上回るAIプロダクト。その競争優位はコードにもDBにも載らず、無数の試行錯誤の末にたどり着いた「プロンプト」という暗黙知に宿る。問題はそれが契約書にもコードにも明示されず、一人の頭の中にしか体系的に存在しないこと。プロンプト資産の不可視性、属人化の構造、移管できないことによる価値毀損、文書化・バージョン管理・帰属というDDの実務を整理する。

Evalがない事業は買収後に品質を再現できない

AIプロダクトのデモは感動的だが、モデルを差し替えた瞬間に品質が静かに崩れ、誰も気づけない。原因は品質を測る仕組み(Eval)の不在だ。評価データセット・指標・回帰テストの三層、Evalなき事業で起きる沈黙の劣化、目視確認の限界、Eval資産の移管可能性という品質DDの観点を整理する。「動く」を超えて「測れる・改善できる」事業がAIの価値を守る。

推論コストがAI事業の粗利を静かに溶かす

従来SaaSの粗利率80〜90%という常識は、AI SaaSでは通用しない。顧客が使うたびにGPU・トークンという売上原価が発生し、スケールが赤字を拡大させる逆ユニットエコノミクスが生じるからだ。トークン原価の構造、定額課金×従量原価の罠、多段呼び出しやリトライの隠れコスト、1リクエスト原価とLTV/CACの再計算という観点でAI事業のバリュエーションDDを整理する。

AIチャットボットの誤回答は誰が賠償するのか

カスタマーサポートをAIに置き換えた事業は、効率化と引き換えに新種の責任を抱える。チャットボットが誤回答(ハルシネーション)で顧客に損害を与えたとき、その賠償責任は事業者に帰属し、買い手は事業ごと承継する。海外の賠償事例の射程、日本の消費者保護・景表法・債務不履行の交差、免責規約の限界、ログ・ガードレール・保険という法務DD項目を整理する(法的助言ではなくDD論点の整理)。