システム・技術

デジタル事業の技術面のデューデリジェンスに特化したカテゴリです。インフラ構成やAPI依存、認証・ドメイン管理、コード品質など、譲渡後に事業を実際に運営し続けられるかを左右する技術的なチェックポイントを、実際の失敗事例をもとに解説します。

誰の権限も剥がせない事業を買う怖さ

少人数の事業では「全員が管理者」が最適解であり、権限の粒度が存在しない。だが売却では、誰が何を持つかの一覧が無く、剥がすと何が壊れるかも分からず、買い手は何も剥がせないまま運用を始めることになる。権限が人格に癒着した事業は、独立した資産として切り出せない。

検索の精度は移管で静かに劣化する

サイト内検索のシノニム辞書やランキング調整は、何年もの運用で管理画面の中だけに育てられた資産であり、移管でインデックスを張り直すとデータは全件揃ったまま検索結果の質だけが巻き戻る。エラーもアラートも出ない静かな劣化の構造と、買い手が要求すべき現物を整理する。

認証基盤の移管で全員がログインできなくなる

ユーザーテーブルを移してもログインできない事故が起きる。パスワードハッシュは復元不能で、同じ方式で検証できなければ全員が締め出される。ソーシャルログインのsub、MFAシークレット、セッション鍵まで、認証移管の落とし穴と買い手の確認手順を解説する。

マイグレーション履歴のないDBの怖さ

マイグレーション履歴はデータベースの設計図に対する版管理にあたる。これが本番と食い違う事業では、手元のコードから本番と同じスキーマを再現できず、買い手が環境を立てても本番と同じテーブルにならない。空のDBに全部当ててdiffを取れば数分で確認できる。

戻せないバックアップは無いのと同じ

DDで「バックアップは取っていますか」と聞いても何も確認できていない。取得は自動化されるが復元は誰も試していないためだ。手順書の不在、ファイルとシークレットの取得漏れ、環境差分、復号キーの同居、個人アカウント保存という五つの型と、検証手順を解説する。

個人開発アプリの価値を消すストア規約

個人開発アプリの売却では、ストア規約と審査基準が事業側の都合と無関係に改定され、昨日まで通っていた実装が明日は違反になる。買い手が見るのは今の審査合否ではなく、規約変更に追随できる作りかどうかだ。価値が消える4か所と追随可能性の測り方を整理する。

サイト売買の失敗は引き渡し後に始まる

サイト売買の失敗は交渉でも契約でもなく、引き渡しの数週間〜数ヶ月後に顕在化する。引き渡し日には全部動いて見えるからだ。月次バッチ、証明書の期限、ドメイン更新、定期課金のサイクルという当日には観測できない周期を、買い手と売り手がどう検査すべきかを整理する。